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コトリ花店・haljion/永島理夏
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― お花を始めたきっかけ ―
大学を卒業してから絵の勉強をしたくて、セツモードセミナーに通いながら雑貨屋さんでアルバイトをしていたのですが、その業務の中に、店内のディスプレイとして「お花を飾る」ということもあったんです。そのうちにいつしかお花を飾るということのほうが楽しくなって…。ちょうどその頃、仕入れ先のお花屋さん でアルバイトを募集していて、やがてそこのお花屋さんで働くようになった、という流れです。
 
haljion*コトリ花店/永島理夏
今回のインタビューは、実店舗を
持ったばかりのhaljion/永島理夏さんです
Photos : Yukiko Kobayashi
Audio-typing : Akemi Mori
結果的にはお花のほうがやっぱり合ってたというか、5〜6年そのお花屋さんで働いている間にもうお花の仕事以外は考えられなくなりました。そのお花屋さんは国分寺が本店で、吉祥寺に1店舗あったんですけど、社長が仕入れた花材を国分寺店から吉祥寺店まで運んだあとは、丸1日をほとんど1人吉祥寺店で勤務していました。
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haljion*コトリ花店/永島理夏
haljion永島さんの念願の実店舗「コトリ花店」
  そのお花屋さんでお仕事を続けていたのですが、とにかく肉体的にハードで。花屋さんはどこもそうなんですけど、朝9時から夜9時の12時間勤務を続けていた中、肺炎で入院してしまって。それで一時的にお花の仕事を離れようと思ったんですね。 もう少しのんびりゆったりとした気持ちで仕事をしたかったので、退院
してから しばらく大学の事務をアルバイトでしていました。でも夢の中でブーケを束ねてたりとかして(笑)。やっぱりお花の仕事に戻りたいなと思ってたときに、絵の教室でしばらく通っていた「サロンドキキ」の先生が、「独立するんだったら早くしなさいよ」って背中を押してくれて…。
最初は土地勘のある吉祥寺で。その頃私の知人が「自転車お菓子屋」というものをやっていたので、「自転車お花屋」さんもアリかなと思って始めたという感じなんです。具体的には自転車に可愛いペイントしたカゴをつけて、そのカゴにお花を積んで、ショップカードも入れて吉祥寺の知っているお店にお花を売りに行く、という感じです。そうこうしているうちに、「ウェブショップをやってみないか?」と提案されたんですね。友達がウェブデザインの仕事をしていて、それでウェブを始めたら、どんどんつながりも出来てきてという…。ウェブも、もう4年ぐらいになります。
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― 実店舗「コトリ花店」 ―
ウェブで注文をお受けして、自宅で仕入れしてアレンジメントを販売したり、また同時にショップに活けこみに行ったりしていたのですが、やっぱり作業場とそれにレッスンが出来る場所が欲しくって。それで2007年中には「お店の物件を見つけよう」と目標を立てたんです。いろいろ人の紹介で空き店舗を見に行ったん
ですけど、だんだん夏が過ぎて秋になっても直観的に「これ!」と思う物件 がなくて…。ここを見つけたきっかけは、そのとき別にお店を探していたわけではなくて、お休みの日に旦那さんとお散歩していたんですね。
  haljion*コトリ花店/永島理夏
ロゴは友達が作ってくれました
ちょうどその日、ここが文化祭みたいなことをやってたんです。毎年10月にあるみたいなんですけどフリーマーケットのように、色々なお店が出ていたので何となく入ってみたんです。そうしたらこの建物に「ギャラリーとしてお貸しします」というチラシがあったんですね。

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haljion*コトリ花店/永島理夏
永島さん得意の森テイストのアレンジメント
  それで、オーナーの人とお話をして、最初はギャラリーで実験的に「お花屋」という展示をやってみようという話だったのですが、「実は、お花屋さんがやりたいんです」と素直に話したら、そのオーナーの方も「ここに花屋が欲しかったんです」って言ってくださって。haljionのホームページを見せたら、とても気に入ってもらったので「じゃぁ是非とも」ということで、とても良い条件で始めることができたんです。
10月に決まって、11月にはもうオープンまでこぎつけたんです。「コトリ花店」という名前は、実
は「haljion」を改名しようかなとまで考えていたほどに、つけたかった名前。ちょうどそのときに生まれた実店舗。これはまさしく運命的な出会いでしたね!しかもこの建物は建築した方のこだわりで、環境に良い素材で出来ているんです。
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壁は珊瑚をすり潰したものが混合されているのでほのかにキラキラして見えますし、 もともとがギャラリーの作品を展示するためにレイアウトされた空間なので、小さい窓が高さに関係なくいくつも配置されていたり、ステンドグラスがはめ込まれていたり、1日の光の動きによって室内の雰囲気が変わるんです。また庭 にはブルーベリーやセージ、カシワバアジサイ、ジューンベリー、アナベルなど何十種類という植物が植えられているので、鳥も実をついばみに来るし、池にはカエルが自然繁殖していたりと、1年を通して庭の表情が変わるので飽きない環境ですね。お花もいい呼吸をしています(笑)。

<> haljion*コトリ花店/永島理夏
店内には可愛い鳥かごがいくつもあります
― 勉強したこと・努力したこと ―
働いてたお花屋さんで基礎的なことを学んだり、国分寺の本店で先輩に教えてもらいました。半年ぐらい後には吉祥寺店で1人で勤務することになったのですが、最初はとても怖かったです。
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haljion*コトリ花店/永島理夏
お客様のリクエストに応えて雑貨も置いています
  でもそのお花屋さんと同じ敷地内に、紅茶屋さんやアンティーク屋さん、古本屋さんなどいろんなお店が入っていたので何となく心強かったです。そこで実地経験しながらお花屋さんの1日の流れや経営方法を学んだという感じですね。また、自分のためになりそうな本は、手当たりしだいに読んだりしました。
あとは吉祥寺にある憧れのお花屋さん「4ひきのねこ」でお花を買うことも結果的に勉強のひとつになりました。お花の種類によって包み方も違うのですが、それがすごくかわいくて! そのお店のお客さんとの会話も含めて、「あぁ、ここの お店はこういうふうにしているんだな…」と、他のお店から学ぶことも沢山ありました。吉祥寺のお花屋さんで勤務していた頃は自分の個性を出しすぎたため に社長から怒られることもありましたよ(笑) 。
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実店舗を持った今、次の目標や夢は「昨日より今日」、「今日より明日」です。底辺で流れているものは変わらないようにしても、やっぱりある意味どんどん進化していきたいと思っています。お店をずっと続けていきたいので、いつも生き生きとした空間であるように心がけたいですね。

  haljion*コトリ花店/永島理夏
鳥アイテムと羊アイテムがお気に入り

― 子供の頃を振り返って ―
思えば母がすごくお花が好きでしたね。母はお買い物に行くと常にお花を買って帰るとか、ベランダにデージーやダリアが植えてあった記憶があります。あと、中学校・高校と女子校だったんですけど、学校に沢山お花がありました。規律の厳しい学校ではあったんですけど季節、行事ごとに花関係のイベントが多かったんです。
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haljion*コトリ花店/永島理夏
こだわりの窓枠からみえる景色も絵になります
  例えば5月の「聖母行列」には、家からみんなありったけの花びらをそれぞれ持って行って、クラスごとに花じゅうたんを作って、キャンドルサービスみたいな感じで、可愛いお洋服着てその中を行列していくとか。気がつくとずっと花がとても身近にあって、しかもいつも目に触れていたんですね。でも実は子供の頃の夢はお花屋さんではなく看護婦さんだったんです。生まれは九州ですが大学に入るときに横浜に移りました。その頃から自分で何かを表現したいという思いがあって、大学を卒業した後に改めてセツモードセミナーに入学して絵の勉強をしていたのですが、絵というツールでは自分の世界観を十分に表現することができ
なかったような気がします。
当時は表現する方法を模索し続けていたと思います。今思えばその頃からお花に出会うまで結構長い道のりだったと思います。諦めずにいると自然に道は開けてくるんですね。

−インスピレーションやセンスを磨くために、普段心掛けていること−
やっぱり「たくさんの物を見ること」と言ったらすごい漠然としていますけど、実際は自分自身で経験したことや、見たことしか表せないと思っているので、映画を観たり絵を見たりとか、写真集を見たりすることを心掛けています。お店を始めてからはちょっと時間が足りなくなりましたが、友達の個展に出掛けて人の作品を見るとか、極力沢山の物に触れる機会はつくるようにしています。
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あまり他のフローリストさんと比べたことがないので、自分のスタイルというのが分からないんですけど、自分で大事にしていることとか、お店作りにしても花を作ることに関しても思うのは、透明感であったり繊細さであったり、そういう感覚をすごく大切にしていて、そこだけは譲れないところですね。
<> haljion*コトリ花店/永島理夏
近所の子供達にも人気の「コトリ花店」
その点を自分が納得してからお客様にお渡ししています。やっぱりエッセンスとして、森のテイストをキープしたいというか。昔からそうなんですけど、自分が見た自然の森だったり高原の風景を、経験上いろいろ積み重ねてきた自分のフィルターを通してテーブルに「どうぞ」みたいな感じを理想としているところがあります。
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haljion*コトリ花店/永島理夏
本日のブーケ
  −個性について−
子供の頃から自分なりの世界観はあります。それが多分あまり変わってないんだろうと思います。他の人に影響を受けやすかったり、人の考え方にすごく共感することが多いのだけど、どこかにすごい静かな場所があって、そこは多分変わらないのかなと思っています。昔は自分の世界観があることできつかったこともあったのですが、お花の世界に入ったことで、表現出来る状況になってすごく楽になりました。お客様にはよくフランスっぽい雰囲気と言われるんですが、実はまだフランスに行ったことないんです。(笑)
絵の教室の先生も毎年フランスに行ってられるんですが、その教室内もすべてフランスっぽい感じ。「コトリ花店」は、そういう実際にフランスに行かれた方たちのお話を間接的にうかがったり、自分が子どものころから何かで見たりしたもののイメージの集積なんです。だから、そのイメージをもっとしっかりさせるためにもいつかはフランスへ行かないと!と思ってます。
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基本的には自分の好みというのがハッキリしているので、市場でも遠くから見て、あの「色合い」やあの「形」は自分の好みだと分かって突進していく感じなので、逆に自分に入って来れないものは、全然入ってこないという感じですね。(笑)そういうのも含めて「直感」だけ、というと大袈裟ですが、大抵「直感」で動いていますね。だから時々かなり危険なのでちょっとブレーキを。(笑)   haljion*コトリ花店/永島理夏永島さんならではのお花と雑貨の統一感
― 休日の過ごし方やライフスタイル ―
お店は月曜日と木曜日が定休日なのですが、月曜日は市場に行って水あげする必要があるし、木曜日は生け込みや配達があるので、全くのお休みがたまにしかないんです。日々すごい全力投球な感じなので、休日には思いっ切りのんびりアロマセラピーとか、お茶のハーブティー飲んでボーっとしたりとか…。
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haljion*コトリ花店/永島理夏
お客様を迎えるお花たち
  リフレクソロジー行ったり、ひたすら癒やしの時間を作るとか、徹底的に自分を癒やしまた翌日頑張る。だから毎日すごく早く寝るんです私。(笑)昨日も9時に寝ました。市場に行くので4時起きとかじゃないですか。だからやっぱり早く寝る習慣がついてます。でもお花屋さんで働いていたときよりストレスは全然ないですね。多分このお店が駅前でひっきりなしに人が通ったり、人が入ったり出たりしていくお店ではないというのもあるし、やっぱり自分の思ったように出来るし、好きなお花を仕入れることができるし、ずっとやりたかったことだし。やっぱりそれは大きな違いですね。

― これからお花をはじめようとしている方へのメッセージ ―
一言で言うのは難しいのですが、「すごく好き」という気持ちを持ち続けることと、そして続けることだと思います。決して楽な道ではないですが、続ける意志があって気持ちがあって体力があれば、絶対いろんなことがあっても続けていけると思うし、続けていけば自分が思い描いた場所に絶対たどりつけると思います。
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やりたくても例えば、体力が続かなかったりとかもあると思います。私も病で倒れて1回離れてみて、近くの花屋さんにお客さんとして入って「ああ、やっぱりブーケが作りたい」とか、「やっぱりお花に触れてたい」とか、そういう思いが前よりも強くなったのでまた戻ってきたんです。「自分にどういう個性やテイストが出せるのだろうか?」と聞かれることもありますが、個性がない人がいるはずはありません。お花だけでなく他の違う色々な物に触れてみたり、本でも映画でも何でも、とにかく好きと思えるものを全部自分の中に入れてみたらどうかなと思います。   haljion*コトリ花店/永島理夏
庭の日陰でお茶を飲みながらレッスンも

Favorites
[ 好きな色 ]
好きな色はいっぱいあるんですけど、白。

[ 好きな花 ]
全部ですけど(笑)。あえて言うならばアナベルとかジュリアかな。

[ 好きな料理 ]
和食や野菜の料理が好きですね。玄米とお野菜、サラダ、フルーツなど。
特に朝ご飯はちゃんと食べます。

[ 好きな雑誌 ]
『装苑』や『ku:nel』、たまに『FUDGE』とか買います。たまたま最初、高木正勝さんのエッセイが載っていたので買ったんですけど、それ以来ときどき。

[ 好きな音楽 ]
アイスランドのシガー・ロスとか好きです。音楽ないと駄目なんです。

[ 好きな言葉 ]
「イノセント」
自分が目指したいのが濁りのない透明な世界というか。だから冬が好きなんです。冬はもっととても空気が透明で、心地よい緊張感があって、植物も元気なんです。

From Editor
炎天下の小平を歩いて10分、横道を入るとすぐに「コトリ花店」はありました。お店の敷地に一歩入るとそこは突然緑豊かな静かな世界に様変わりします。お客様には「ここに来ると子供の頃の無邪気な心に戻れる感じがする」とか「とても癒される」とか、「子どもの頃を思い出す」などとよく言われるそうですが、まさしくその通り。そのイノセントさが濃縮された空間でした。永島さんの表現したい世界を味わえて良かったです。
■写真左-窓枠も窓から見える景色もまるで絵本のような世界
■写真右-色や花材の組み合わせが永島さんらしい花束

      〜 フローリストライフ編集長・小林夕希子 〜
haljion*コトリ花店/永島理夏



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